はじめに
自分で言うのもなんですが、かなり恵まれた環境の中で社内SE(主に基幹アプリ担当)をしています。
残業はほぼゼロ、上司からの評価も良好、共働きでの子育てともしっかり両立できており、給与も平均以上。「かなり美味しい立ち位置」にいる自覚はあります。
客観的に見れば好待遇とも言える環境ですが、近年の「生成AIの爆発的な普及・浸透」により、将来への不安と違和感が心の引っかかるようになりました。
今回は、ホワイトな環境にいる一人の社内SEがなぜ不安を覚えているのか、その危機感から起こした実際の行動、そして自身の現在地の棚卸しについて書いてみます。
いつから危機感を感じ始めたのか?
【ことの発端】技術部門のユーザーからの相談
きっかけは、非IT部門である一般社員(技術系)の方から「生成AIを使ってアプリを作ったので、WEBアプリとして社内で利用したい」と相談を受けたことでした。
「今はわからないけど勉強しながらですが」と前置きは置きつつも、AIを使って作成されたWEBアプリの構成説明資料は、開発が本業ではないとは思えないほど「それっぽく」出来上がっていました。
専門知識や業務で培った経験がなくても、AIを使えば形になってしまう今の時代。
自身の社内でのアイデンティティだと思っていたITスキルが、自然言語でプロンプトを投げるだけで誰もが作れてしまう時代になったとアイデンティティの消失感と危機感を覚えました。
「稼働時間=貢献度」で見られたら負けるという焦り
入社からの約5年間は、毎日1〜2時間程度残業しながら仕事を進めていました。しかしシステムが安定稼働に入った現在、残業をしなくても回る状況となり、他のメンバーと比べても圧倒的に時間に余裕がある状況です。(共働きで育児中という理由もあり、残業ができない背景もあります。)
しかし、直属ではない上位層からスキルや成果の質ではなく、「稼働時間(働いている時間)」というシンプルな指標で評価された場合、「時間に余裕があるから」と異動(配置転換)対象に挙げられるリスクもあるように感じました。時間の量で勝負できない立場だからこその漠然とした焦りがありました。
危機感を感じて、まず始めてみたこと
転職活動の再開
今の環境を手放すのはリスクがありますが、何もしないままでは「いざ」という時に終わってしまいます。転職エージェントを活用し、今より好条件の企業がないか求人をチェックし始めました。
ただ、現実的には「希望勤務地 × 高待遇」の壁は高く、なかなかないのが現状ですが、常にアンテナを張っています。
私が現在使っているエージェントはリクルートエージェントです。よく耳にする大手企業の紹介や商談の中で直接採用担当に推薦してくれたりするようなので転職活動の近道かもしれません。
社内での業務エリア拡大
従来の「アプリ開発・保守」だけではなく、本来の役割とは違うヘルプデスク寄りのユーザからの問い合わせ案件も取るようにしました。守備範囲を少し広げ、役立つかは不明ですが転職活動の経歴拡大と社内で頑張っている感(手が空いてる感を出さない)を出すためです。
生成AI時代の「自分の現在地点」を棚卸ししてみた
生成AI時代の社内SEとして価値があるのか、現所属会社目線ではありますが自分の立ち位置を分析してみました。
| 製品・領域 | ユーザー・生成AIで代替される部分 | 自分が握る「社内で絶対に負けない領域」 | 今後の見通し |
| AD / M365 | サイトデザイン Power Apps / Automate | Active Directory / Entra ID(ID管理) アクセス権(カスタム権限)・監査ログ | 生成AI時代なのでマクロのようにアプリ作成は一般ユーザーができてしまう。 |
| Azure / NW | (ポータル未解放のためなし) | 仮想ネットワーク関連 WAN側の接続(NAT・通信経路)設計 | ユーザー自作アプリを安全に社内NWからどう繋ぐかを考える立場になりそう。 |
| intra-mart | (触らせていないためなし) | プラットフォーム管理 ローコード・業務ロジックカスタム | 一般の生成AIではまだ代替できない領域 |
| SAP | (触らせていないためなし) | アプリ基盤保守 | 修正・追加はベンダー任せ(ブラックボックス)だが社内SEとして全体を引き続き管理運用 |
棚卸しで見えた素直な感想
こうして改めてスキルや業務領域を整理してみると、アプリケーション構築やプログラミング単体については誰でもできてしまう時代になり、「アプリが作れます!」「プログラムが書けます!」だけでは、社内SEとして価値を維持していくのが厳しくなってきたというのは動かしがたい事実だと実感しました。
ただし、SAPのように一部ベンダー依存のブラックボックス領域もありつつも、Azure内のサブネット設計や社内WANとの通信経路(NATやルーティング)設計、AD/Entra IDによる権限管理といったインフラ・ID・セキュリティ設計の根幹部分は、まだまだ「生成AI × 一般ユーザー」には代替されない領域だと感じました。
ユーザーがどれだけ手軽に便利なアプリを作れるようになっても、「そのアプリを会社全体の安全なネットワークやID基盤にどう組み込み、ガバナンスを効かせるか」を設計・運用する能力は、今後の社内SEとして新たにスキルや知識を磨き、身につけていくべき重要な立ち位置として残っていく(自身が変わっていかなければいけない部分)のだと確信しました。
で、結局いま何をしているのか?
昨今の生成AIの普及に伴い、セキュリティインシデントが大量に発生・報道される時代になりました。
その煽りを受けて、現在の職場でも(これが良いのか悪いのかは一度置いておいて)、セキュリティ統制やガバナンスへと視座を上げざるを得ない状況となっています。 ただ、私にとってはこれが一つの大きな転換点になるかもしれません。
「どうしようもない不安」抱えつつも、いつでも動けるように紹介求人情報には目を通しつつも、この時代のトレンドに乗っかる形で自身のモデルチェンジ(=「ガバナンス・セキュリティ統制ができる社内SE」へのシフト)をじわじわと進めているところです。
具体的には、実務(脆弱性発覚時の対応や基盤構築)を通して新たな知識と実績を積み上げつつ、上司からミッションでセキュリティインシデント手順を作り上げます。
まとめ
以上で、『【社内SEの苦悩】余裕あり・残業なし・高評価。それでも「生成AI時代」に焦りを感じている理由』でした。
誰でも生成AIでアプリケーション、プログラミングが自然言語で作れるようになってしまった結果、私は以下のモデルチェンジを進めてみようと思いました。
- アプリ開発からガバナンス・セキュリティ統制できる社内SE
どうなるかは不明ですが、求人は眺めながらもひとまず頑張ってみようと思います。


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