はじめに
SIer特有の長時間労働、プロジェクト末期の追い込み時期、顧客(発注者)との関係に嫌気が指し、金融系SIerから社内SEに勢いで転職しました。
発注側に立ち、ベンダーに仕事を投げるだけの簡単なお仕事(=ベンダーコントロール)と思い、内定後ウハウハでした。事実、SIer時代と比べたら「ぬるい」ですが、理想と現実には少なからずギャップがありました。
本記事では、ベンダーコントロールメインの社内SEの現実を語ります。
なおあくまでも筆者の属する会社の社内SEの経験をもとに記載しておりますため、すべての社内SEがあてはまるとは限りません。
労働環境
結論から言いますと、「本社」に準ずるが近いのではと思います。
社内のIT職ではありますが、会社内ではコーポレート職に準じるので、専門性は高いですが、会社としては経理、人事、総務と同等と考えてもらえばよいのではと思います。
したがいまして、そのような職種と準じるのでSIer出身から見ると間違いなく労働環境はホワイト寄りです。現に同僚の元SIerから言わせると、同じく「ぬるい」環境だと言っていました。
ちなみに残業時間はプロジェクトにもよりますが、担当者レベルで繁忙期で40時間程度、最近は比重の重い開発案件・緊急問い合わせも少ないのでグループはほぼノー残業です。
お賃金・評価制度
コーポレート職の賃金に準ずるが正解かと思います。繰り返しになりますが、会社としてはあくまでも「コーポレート職」なので社内SEだからといって基本給が特別高いわけではありません。SIerの頃のお賃金よりかは下がる可能性はありえます。
※むしろ筆者の転職活動時は裏方メインの求人(ヘルプデスク)が多かったためか、低めに設定されてるように見受けられました。筆者の場合はたまたまSIer時代と同水準のお賃金の会社に転職できました。(もともとブラック寄りであまりお賃金が高くなかったことありますが。。。)
評価制度は社内システムを安定稼働させることが最大使命のため、チャレンジングなことをするような職務ではないため、他コーポレート職同様、目標が設定しづらい、評価されづらい職種のように思います。
※現に目標設定時は売上や製品を世に出す立場ではないので、毎回毎回悩みます。
ただし、DX投資に積極的な企業においては、技術職が不足している実情もあるため、高い報酬が期待できるかもしれません。(今なら生成AIとか機械学習などが強ければ高収入が期待できるかも)
楽×高報酬が期待できる企業はあると思いますので、転職活動時は求人を十分に吟味してください。今はチャンスだと思います。
キャリアパス
社内SEは社内システムにすべて関わってくるので、さまざまな仕組みに触れることができます。したがいまして、ベンダーコントロールがメインの社内SEに転職したとしても、キャリアパスは当人の意識次第で変わってきます。
知識・技術力のある社内SEにもなれますし、知識まあまあ・技術に乏しい社内SEにもなれます。あくまでも個人的感想ですが、技術力がなくてもベンダーコントロールはできますが、技術がないと深いところまでベンダーと仕様を詰めることができないので、ベンダーコントロールというよりかは、極論ベンダーの言いなり状態になり、中途半端な仕組みになってしまい後々困ると思うようになりました。
技術は鈍るのではと思われるかもしれませんが、案件の中で、当人の意識で幅広く取得できる環境でもありますので技術を広げるチャンスは十分にあります。
また社内SEの業務は、ユーザ以上に社内システムに熟知することになりますので、社内システムをきっかけに社内で他職種にジョブチェンジできる可能性もあるかと思います。
あくまでも自分がどのような社内SEはたまた社内SEでの経験を足掛かりに、他職種を見据えるかを考えて行動するのがよいと思います。
筆者は知識・技術を深めて会社にしがみつかなくてもいいキャリアを歩めるようになりたいと考えて、なるべく関わる案件の知識・技術はものにしようと考えてます。
資格の必要性
資格の必要性は正直わかりませんが、私を採用した上司からは「人とちゃんと話ができるか」を重要視していたと聞きました。
なおちゃんと話ができるとは、今思うと以下のことだと思っています。
- ユーザの要望をベンダーに設計仕様に落とし込んでディスカッション・伝えられるか
- ベンダーの言葉を、ユーザが理解できるように咀嚼して正しくディスカッション・伝えられるか
- ユーザとベンダーの認識のずれなくプロジェクトを推進できるか
ただし、話ができるレべルが同じ場合は、最後は資格の有無で決める可能性はあるのではと思いますので、あって無駄なことはないと思います。
まとめ
以上で、『現役社内SEが語る「ベンダーコントロール」メイン職種に転職することの理想と現実』でした。
他にも社内SEの実態についてまとめてますので、よろしければどうぞ参考にしてください。
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