はじめに
メールの保存期間の設定において、特定期間が過ぎた場合削除するという要件が発生したため、Microsoft PurviewのラベルポリシーとMRMについて検証してみました。
双方検証した結果、微妙な仕様の違いが見えましたので、その違いをお届けします。なお社内SEの独自の検証のため仕様上、誤っている可能性は否定できないのでその点はご了承ください。
結論、社内SEならどちらを選ぶ?
Exchange OnlineならMRMでの運用が圧倒的に楽だと思います。理由は以下のとおりです。
- 1ポリシーに対して複数タグを設定できるため管理が容易
- 特に何もしなければ全体にポリシーがデフォルトで反映される
- 簡単にできることはMRMのほうが多い
一目でわかる「ラベルポリシーとMRM」機能比較表
| 比較項目 | ラベルポリシー | MRM(メッセージング レコード管理) |
| 対象サービス(範囲) | M365全体(SharePoint, OneDrive, Teams, Exchange等) | Exchange Online(メール)のみ |
| 主なアクション | 削除、何もしない、他ラベルへ付け替え | 削除、永久保存、自動アーカイブ移動 |
| 自動アーカイブ移動 | ✕(不可) | ○(可能) |
| Power Automate連携 | ○(自動化フローで利用可能) | ✕(非対応) |
| ラベルの構成 | 1ポリシーにつき1ラベル | 1ポリシーに複数タグ追加可能 |
| ポリシーの適用・割り当て | 全体一括適用が可能(または範囲を細かく指定) | メールボックスにつき1ポリシー。指定なければ全体のメールボックスにデフォルトポリシーが自動適用 |
| 発行から利用までのラグ | 1週間程度のタイムラグあり | 即時反映 |
併用運用とルールの優先順位
ラベルポリシーで「規定(強制)適用」したい場合
MRMのように「全データに強制適用する」運用をラベルポリシーで再現する場合、保持ラベル単体ではなく「アイテム保持ポリシー」で全体をカバーしつつ、例外的に「ラベルポリシー」を配って手動選択させる併用運用が必要となります。すなわちラベルポリシーだけでは強制適用できません。
ラベルポリシー とアイテム保持ポリシーの優先順位
双方の設定が競合した場合、Microsoft公式の「コンプライアンスの原理」により以下の原則で判定されるようです。なお検証していないので、本当かは不明です。
- 「明示的(手動ラベル)」は「暗黙的(全体ポリシー)」に勝つ
- 「より長く保持する設定(最長保持)」が勝つ※実環境での動作や画面反映のタイムラグは環境依存の可能性があるため、本番適用前の検証をおすすめします。
【共通の注意点】削除されたデータの挙動について
ラベルポリシーとMRMのどちらを使っても、データ削除と復元の裏側の挙動は共通しています。ここは別でまとめたSharePointでの挙動とは大きく異なっております。
- ごみ箱を経由せずに消える:ユーザーの画面上からは「ごみ箱(削除済みアイテム)」を経由せず、直接削除されます。
- 訴訟ホールド設定があれば裏側の非表示領域に残る:訴訟ホールドや保持設定が有効な場合、即座に消去はされず、非表示領域(回復可能なアイテム領域 / Recoverable Items)へ退避されて保護さるようです。
- 管理画面(GUI)からの直接復元は不可:退避されたデータを元のメールボックスに復元する場合、管理センターの画面操作からは復元できませんでした。Exchange Online PowerShellのスクリプト処理を実行して復元する必要があるようです。
まとめ
以上で、『【Exchange Online】ラベルポリシーとMRM、メールボックスへのポリシー適用。検証結果からわかった違いまとめ』でした。
MRMは古い仕組みのようですが、挙動は同じですが、実際に検証してみてExchange Onlineを管理するうえでは圧倒的にわかりやすく使いやすいですので、サービスがなくならない限りは私の場合はMRMを利用することに結論づきました。

